2015/11/03

世界で3000万部発行されているスティーブン・R・コヴィー著の「7つの習慣」をまんがでわかりやすく解説している本です。
要点をまとめることで簡潔に内容を理解することができるようになっています。
7つの習慣は以下の項目から構成されています。
第一の習慣
・主体的である
第二の習慣
・終わりを思い描く事から始める
第三の習慣
・最優先事項を優先する
第四の習慣
・Win-Winを考える
第五の習慣
・まず理解に徹し、そして理解される
第六の習慣
・シナジーを創り出す
第七の習慣
・刃を研ぐ
上記の7つの項目から構成されていますが、本書ではコミック部分が数ページでそれぞれが終わり、その後1~3ページで解説が挟まれるという形式です。
・第一の習慣では、本書における主体性の意味と役割を説明しています。
「主体性とは、人間として、自分の人生の責任を引き受けることを意味する。私たちの行動は、周りの状況ではなく、自分自身の決定と選択の結果である。」
どんな些細なことであれ、その時々の選択は自分で行っているのです。
誰かのせいではなく、自分で選んでいるという事を自覚し、周囲に影響されるのではなく、自らが動くことで自分らしく成長することが重要です。
主体的でない人は仕事のミスや、異性にフラれることなど何でも他人のせいにしてしまいます。
しかし、本当の意味で物事がうまくいかないのは性格や行動を決定している自分自身です。
まずは自分自身に問題があったと考えた方がいいとコヴィーは述べています。
そして人は、行動を選択する自由はあっても結果を選択する自由はありません。
また、一度起こした行動は取り消すことができません。
ですから、「次」の行動を改善していくしかないのです。
自分が望む結果を手に入れたければ根気よく”試行錯誤”するしかありません。
そうすることで徐々に結果は変わってきます。その時も、個々の行動に責任を持つ意識が大切です。
・第二の習慣では、終わりを思い描くこと、すなわちゴールを意識することについて述べています。
様々な状況で選択を迫られる時があると思います。その時に重要なのは「自分にとっての原則」です。
終わりを思い描くことについてコヴィーは以下のように書いています。
「日々の生活で様々な役割を果たすときに、自分の価値観を明確にし、方向をはっきりと定めて行動する事である。そうすれば本当の意味で主体的で価値観に沿った人間になれるのである。」
自分にとっての原点を明確にしておけば、選択に迷った時にブレずに進むことが出来ます。
この点がはっきりしていないと、その時の状況に流されてしまう主体性のない人間になってしまいます。
「内面に変わることのない中心を持っていなければ、人は変化に耐えられない。自分は何者なのか、何を目指しているのか、何を信じているのかを明確に意識し、それが変わらざるものとして内面にあってこそ、どんな変化にも耐えられるのである。」
自分の可能性から将来を想像し、良心に基づいて、自分の奥底にある価値観をベースにした脚本を作りましょう。
コヴィーによれば、①自覚、②想像力、③良心は人間独特の力であり、この3つの力を駆使すれば自分だけの人生は必ず見つかる。
まず、自分にとっての「目的は何か」を考える習慣を付けましょう。
・第三の習慣では最優先事項を優先するということです。
一見するとよく聞くようなフレーズですが、本書で述べられている優先すべき内容というのは、「緊急でないが重要な事」です。
ここでは4つの人間の活動の種類についても述べられています。
第Ⅰ領域「 緊急で重要なこと 」 | 第Ⅱ領域「 緊急でないが重要なこと 」 |
第Ⅲ領域「 緊急だが重要でないこと 」 | 第Ⅳ領域「 緊急でも重要でもないこと 」 |
「時間管理という言葉そのものが間違っているという考え方だ。問題は時間を管理する事ではなく、自分自身を管理する事だからだ。」
「あなたは何かに対しては必ず「ノー」と言ってきた・・・。目の前に現れた用事が緊急に見えなかったとしても、それはあなたの人生そのものに関わる事柄だったのかもしれない。」
この2つをここではコヴィーが述べています。
「最優先事項を優先する」ということにおいて、多くの人が誤解をしているといっています。
時間を基準とした管理の仕方だと、本当に重要な事柄であっても時間が来たら終了となってしまいます。
すると、大切な事柄であるにも関わらずいい加減に済まされてしまうこともあります。
これが「時間を管理する」という発想の危険性です。
上記の表の領域を見てください。
多くの人は第Ⅰ領域に時間を割きます。これは当然です。
しかし、これは忙しく疲れも溜まりますから、無駄な第Ⅳ領域に逃げ込みたくなってしまいます。
コヴィーは人生を充実させるには第Ⅱ領域により集中することが必要だといいます。
ここには成長に役立つ活動や、将来第Ⅰ領域に入ってくる事柄への準備活動が入るからです。
第Ⅱ領域を増やすためには第Ⅲ・第Ⅳ領域を減らすのが大切です。
緊急性が高い第Ⅲ領域を減らすのは難しいですが、そんなときは自分が中心に置いた原則に基づいて考えましょう。
そうすれば迷いなく誠実にノーと言えるからです。
重要なのは優先した事柄がいかに自分にとって大切な事柄であるかです。
その結果、消化しきれない予定も出てくるかもしれませんが、目的は予定を消化する事ではないはずです。
自分にとって大切な本当の目的を達成するために優先したのですから、消化できない予定があっても問題はありません。
・第四の習慣は、関わる両者が得するWin-Winを考えるということです。
勝者に対して必ず敗者が存在するわけではありません。この章はコミックをしっかりと読んだ方がわかりやすいと思います。
「私たちはえてして、強いか弱いか、厳しいか甘いか、勝つか負けるか、物事を「二者択一」で考えがちだ。しかし、このような考え方には根本的な欠陥がある。原則に基づいておらず、自分の権力や地位にものを言わせる態度だからだ。」
普段の生活を送っていると、時たまそういう場面に出くわすことがあります。
本書のコミックでもケンカになってしまいそうな場面が描かれていました。
そういった場面でどういった行動を取るべきなのかは、『二者択一』の考え方しか持たない場合には難しいかもしれません。
これも自分の視野を狭めてしまっているからだと思います。
「Win-Winの根本には、全員が満足できる方法は十分にあるという考え方がある。全員が勝者になれると考えるのである。Win-Winは、あなたのやり方でもなければ私のやり方でもない、もっと良い方法、もっとレベルの高い方法を考え、選択することである。」
双方にメリットのある道が真の正解。
時に相手に好かれたい一心で「Lose-Win」をWin-Winと考えてしまう場合があります。
自分の不利益に目を瞑っていても、本当に満足はできません。
自分もWinを得なければ幸せにはなれません。
Win-Winの項目では詳細にテキストでの解説が行われているので、決して理想論と一蹴するのではなく、現実的に可能な物だということがわかると思います。
・第五の習慣では、まず理解に徹し、そして理解されるという、「聞く力」についての章です。
本当の信頼を得て自分の影響力を発揮するためには、まず相手の話を深く聞く必要があります。
聞き方についてトレーニングを受けたことがあるという人はほとんどいないかもしれません。
そのくらい相手の話を聞き続けるというのは難しく、そして重要なことなのです。
相手を理解しない人は理解してもらえません。
興味がないからとないがしろにせず、しっかりと相手の話を受け入れてあげることで初めて自分も理解してもらえるのです。
コヴィーは「自分の場合」に当てはめて聞くことをやめるべきと言っています。
人の話を自分の経験で解釈したり、評価しようとする聞き方を「自叙伝的反応」といい、この聞き方だと相手は「私の話を聞いてくれた」と思えません。
「自叙伝的反応」から「心の底から理解しようとする聞き方」へと大きなパラダイムシフト(価値観の転換)が必要です。
言葉の正しさでは人の心は動かないということも心に留めておくべきでしょう。
第六の習慣では、シナジーを創り出すということを解説しています。
人と何かを行う時は共通点に目がいきがちです。しかし、「違うこと」という事にも大切さはあります。
「違いを尊重することがシナジーの本質である。人間は一人ひとり、知的、感情的、心理的にも違っている。誰もが「自分のあるがまま」を見ているのだということ気づかなくてはならない」
自分だけで気づけることには限界があるので、他者との交流によって様々なことを学んでいく姿勢が重要です。
その際に相手が誰であっても学べることはあります。自分とは違うものに触れることによって新しいものが創造されていくのです。
お互いに違う意見がぶつかったときに、双方が納得できる「第三の案」を考えていくこと。
この時に大事なのはそれが「妥協」とは別物であるということです。
妥協でなく双方が納得できる案はそれまでの何よりも大きな効果を生み出すものです。
これこそが共同作業の大きな産物なのです。
シナジーをもたらすにはコミュニケーションの度合いが作用します。
そして、「第三の案」を生み出すには忍耐がいります。
自分の人生における原則を守り、相手との違いを尊重するというのは根気が必要です。
しかし、そうした人こそが第三案に到達できるのです。
第七の習慣は刃を研ぐこと。
これまでの習慣の効果をより大きなものにするために、日々自分を鍛えて”切れ味”を高めていく必要があります。
自分という「素材」を高めることでそれぞれの習慣で得られる実りも自然と大きくなっていきます。
そのためには「自分が変わる用意」がしてなければなりません。
ほんの少しでいいから毎日自分を磨く。これを5年、10年と続けていけば、やらなかったときと比べてその差はとても大きなものになります。
人は成果をすぐに求めてしまうものですが、自分が高まった結果として望む現実が現れるので、何かをやってすぐに表面に出るわけではありません。
体調(肉体)、観点(精神)、自律性(知性)、つながり(社会・情緒)の4つの側面でバランスよく刃を研ぐ時間を取る習慣をつけましょう。
長くなりましたが、紹介はここまでです。
この本を読んだ後に思ったことは「もっと良く知りたい」という感情でした。
コミックが多く採用されているということもあってわかりやすいですが、何か物足りなさを感じてしまうのも確かです。
この本自体にも「まずはここから」というニュアンスで書かれているので、興味を持ったなら「完訳 7つの習慣 人格主義の回復」を読んでみるのがいいと思います。
ここでの紹介では内容を多く省いていますので、いくつかでも内容を知りたいと思った方は是非一度手に取ることをおすすめします。
また、このまんがでわかる7つの習慣はシリーズ化されていて、この後にも刊行されています。
機会があれば、そちらについても紹介をしたいと思います。
大変読みやすく、おもしろい本でした。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。